ドバイのチャイナタウン:ドラゴンマート(Dragon Mart)

世界中の大きな都市であればどこにでもあるチャイナタウンであるが、ドバイにもそれらしきものがある。

それはドバイ空港から若干砂漠方面に行ったところ、International City(インターナショナルシティ)というコミュニティ内にある、ドラゴンマート・コンプレックスだ。

ドラゴンマートとは
「安かろう悪かろう」からオーガニックに成長
中国人しか法人設立できない
中国の強さを実感

ドラゴンマートとは


このドラゴンマートは中国"タウン"というよりはいわゆる中国ショッピングモールで、中国の貿易業者が、実にさまざまな物品を出展しているマーケットだ。

同じインターナショナルシティ内の、ドラゴンマートに隣接するその名も「チャイナ地区」にも、実に多数の中国系ビジネスが開業している。

インターナショナルシティは、ドバイ政府資本100パーセントの不動産ディベロッパー、ナヒール(Nakheel)社がマスターディベロッパーだが、このチャイナ地区にあるそれぞれのビルディングは、金持ち中国人が投資して所有しているケースが多いようだ。

ちなみにこの中国モールことドラゴンマート。

どうせ中国産でしょ?ドバイで安物が売れるの?

などとバカにしてはいけない。

私の所感では、ドバイモールと並びドバイで最も人気のある、かつ集客力のあるショッピングモールの1つだ。

たまたま仕事で平日ここを訪れたのだが、平日午前中だというのに非常によく賑わっている。

ドバイの中の中国:ドラゴンマート

ここに来ると、シルクロード、中国と中央アジアの国境近くのマーケットに来た雰囲気。

早めの昼飯で店先でヌードルをすする中国人や、客がいようがお構いなしで自分の荷台を強引に運ぶアフガニスタン人、濃い〜顔で商品を物色するトルコ系中央アジア諸国から来たと見受けられる人など、自分勝手で雑多、体臭がニオってきそうなギラギラした熱気で溢れている。

綺麗に清掃されているところだけがドバイらしいところか。


このドラゴンマートで売られる主な商品は、雑貨品、アパレル、家具、携帯電話など電気製品、建築資材、アウトドア家具、工具・ツール、玩具、カーテン、壁紙、便器、などなど、中国で安く生産されていそうなものはほぼすべて売っている。

「安かろう悪かろう市場」からオーガニックに成長


このドラゴンマートに出展しているショップは、ドバイモールなどドバイの他のモールと違い、店の内装などにはまったく凝っていないし見るからにお金かけていない。

それぞれの店は展示会ブースかよ、というレベルの内装だ。

このスタイルはドラゴンマートがスタートした10年前からまったく変わっていない。

だが最近ドラゴンマート・ツー(2)も開業して、現在では当初よりもおそらく3〜4倍の売り場面積を誇るまでになった。

ドバイの中の中国:ドラゴンマート

まずド派手で高級なハコモノを用意し、高い賃料でテナントを入れる、というドバイの一般的なビジネスモデルとは一線を画していて、需要があるから増設を繰り返し、巨大な規模までオーガニックに発展してきた、という点で非常に興味深い、かつ理想的なプロジェクトだ。

ドバイでは長らく続くオイル価格低下のため、前述の「高級ハコモノ場所代」ビジネスモデルが上手く機能しなくなりつつあるだけに、異色かつ貴重な存在だ。

ドラゴンマートと同様にオーガニックに発展してきた、という点で似たようなプロジェクトでは、グローバル・ヴィレッジがある。

グローバル・ヴィレッジも、スタートしたばかりの10年強前には「しょぼい安物市場」的な雰囲気を醸し出していた場所だ。

高級感のまったくない、近隣発展途上諸国のビジネスを中心に様々な物品を売る、そしてほとんど白人(先進国の人)を見ることがないが非常に成功しているプロジェクト、という点でドラゴンマートと共通点がある。

ドラゴンマートでは中国人しかビジネスできない


この中国モール、ドラゴンマートでは、中国パスポート保持者で無ければ出展(法人設立)できない。(香港人、台湾人はどうなのか不明)

ドバイ/アラブ首長国連邦国内にあるショッピングモールなのに、中国人しかビジネスができない・・・・

だからドバイにあるのに、なんとUAE国籍者であってもドラゴンマートには出展できないのだ。

もし東京のショッピングモールに、日本人は出店できず、日本以外のある1国の国籍者が出店できるモール、というのがあったらどう思います?ルール的にも心情的にもありえないですよね?

その辺はドバイの移民に寛容な政策によるものでもある。

法人税ゼロのドバイで法人設立・会社設立 - 目的別3つの法人タイプ | ワイズ コンサルタンシー

中国の強さを実感


世界中様々な国に進出し、仲間同士で固まり、一丸となって中国人オンリーのコミュニティをいつのまにか作り上げてしまう華僑の強さは、世界中の中華街を見れば一目瞭然。

このドラゴンマートは今までの中華街の成り立ちパターンとはちょっと違うが、ある意味、巨大な資金力で強引に他国の中に中国を一気に作ってしまう、中国の新たな戦略に見える。

中国パスポート保持者しか出展できない、ということは、ドバイ政府に中国から相当お金が出ているのだろう。
ドバイに場所代だけ払って中国政府の関連組織が運営しているのかもしれない?

世界各国の中華街を見てもわかるとおり、もともと他国の中にに中国を作り上げてしまう事に非常に長けている中国/中国人が、更に近年得た途方もない資金力をもって世界中に中国を作りつつある姿は恐ろしいが、そのまったく周りに配慮しない強引な手腕はお見事でもある。

日本製品を世界で本気で売りたかったら、日本の政治家と官僚にもこのくらいの勝手さ、強引さ、ズルさ、そしてストリート系賢さがあればなあ、と思うのは私だけだろうか。

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