これぞドバイと言える、野心的で夢があり、圧倒的なスケールであり、ド派手であり、しかしながら経済効率的にはとんでもなく無駄、という非常にユニークなプロジェクトだ。
日本などではタックスぺイヤー(納税者)の圧倒的な反対によって、このようなバカバカしくも実はジニアスかもしれないプロジェクトが実行されることは絶対ありえないと思うが、夢を売ってお金を集めるドバイでは「GO」だ。実際それによってお金が集まってくるのだから、それはそれでスゴイと言える。
ナヒールはまずハームジュメイラの埋め立てを完成し、その後パーム・ジュベルアリ、そしてこのザ・ワールドの埋め立てを完成させた。
しかしリーマン後の世界経済停滞のあおりを受け、3つ目のパームアイランドであるパーム・デイラは埋め立て途中で頓挫し、このザ・ワールドとパーム・ジュベルアリは島上の開発が進まず、その後しばらく放置される結果となっていた。
もちろん当時ナヒール社自身も相当ヤバい状況に陥る。
だが2012年以降のドバイ不動産市場のV字回復とともに、島上の開発を始めるチャレンジャーが現れ始めた。(島にはそれぞれバイヤーがいて、開発はそれらのバイヤー次第となる。)
地元ドバイでもさほど知られていないが、ザ・ワールド・アイランドにはすでにビーチクラブがオープン!
一番最初に開発されたのはドバイ王様の家族の別荘だが、最初の商業施設として誰でもアクセスできる施設を開発したのが、インド人ビジネスマンによって開発されたレバノン島(ザ・ワールドには国名がつけられている)のビーチクラブだ。
The Island/ザ・アイランド・ビーチクラブと言う。
昨年、このビーチクラブを訪れた時の写真。確か行くには1人200Dhs強(6000円程度)かかる。
ビーチクラブからオンショアのドバイ高層ビル群を眺めるビューはなかなかのもので、オフショアプロジェクト、ザ・ワールドのポテンシャルを感じさせる。
だがこのビーチクラブが、申し訳ないがはっきり言ってしまうとショボい。
ビーチの砂は質が悪く工事現場の砂利のようだし、プールの水はやたらと冷たくて凍えてしまう。
さらにビーチクラブに1つだけあるレストラン/バーでは出せる料理に限りがある。
一応、アルコールを出すところだけが救いだ。
店員もイマイチやる気なし。オンショアの5つ星施設に比べるとかなりしょっぱい。
スタッフによると、このビーチクラブで使われている水は全て本土から運んできているんだそうだ。
この辺もコスト高だし、今後の良い方向へ向かう展開としては、他の島々も開発が進み、政府関連会社によるインフラ整備や、他のプロジェクトと合わせた物流のシナジー効果にかかっていると言えるだろう。
野心的なオフショアの一大リゾート開発、The Heart of Europe (ザ・ハート・オブ・ヨーロッパ)
ところで私、ザ・ワールドにはかれこれ3回ほど行っている。
このレバノン島の隣で、The Heart of Europe(ザ・ハート・オブ・ヨーロッパ)という一大開発プロジェクトが進行しており、投資家と共に何度か視察に行っているからだ。
最初の上陸は2013年だ。
開発しているのはオーストリア系の中堅ディベロッパーで、このThe Heart of Europeが彼らが手がける最初のプロジェクト。
10つ以上のリゾートホテルと高級別荘、また世界初という寝室が水中にあるシー・ハウス(名前はシー・ホウス)など非常に野心的なプロジェクトだ。
現在、プロジェクト内ではヴィラの建設が進んでいる。
眺めは360°オーシャンビューでインフィニティ・プール付きの最高級ヴィラだ。
だがイケアで家具を買ったら、どうやってデリバリーしてもらえば良いのだろうか・・・
下はモデルルームとしてすでに実在するシーホウスと水中バスタブの写真。
こんなエロい風呂を持つ物件はドバイでなければ、なかなか計画/建設しないだろう。
実際、複数の日本人投資家が(シーホウスではないが)このザ・ハート・オブ・ヨーロッパの物件に投資しているが、オンショアプロジェクトに比べるとリスクがあるので注意が必要。
それはディベロッパーのみが完成させ、運営すれば良いわけではなく、ドバイ政府関連会社によるインフラ整備が欠かせないからだ。例えば電気/水道、それから交通。
やはりドバイ政府としてはこのまま放置するわけにはいかないだろうから、大きなバックアップが期待できると考えるのが妥当であろう。
リスクはあるが、いずれ島々の開発がモーメンタムを迎え、ザ・ワールド全体が盛り上がってきた時、とてつもないリターンが得られる可能性があるのもまた事実だ。
それには今後10年以上かかるかもしれないが、いろんな意味で今後が楽しみなプロジェクトだ。
というわけで、以上ザ・ワールドの現況です。
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