ドバイもアブダビも、再生可能エネルギーや「サステイナブル」という言葉に関連した事業には高い関心があるが、これは日本のように環境/エコ/省エネが原因で関心があるわけではない。
製造業がほぼ皆無なUAEでは、大気汚染もないし、自前でオイルが出るのでそもそも安くて豊富なエネルギーが手に入る。
というわけで、どちらかと言えばいずれ限りのある原油資源を大事に使うため(自前の商品を無駄に使わないため)に代替エネルギーへの関心が高い、という意味合いが強い。
ところで、この地域で再生可能エネルギーと言ったらまずは太陽光発電だろう。ドバイ/アブダビ/UAEでは、雨もほとんど降らず毎日晴天な上、太陽の日差しは暴力的に強いので、世界で最も太陽光発電には向いている地域ではないかと思う。
もし一戸建ての屋根にソーラーパネルを設置できるのであれば、一家で使うかなりの電気がそれで賄えるのではないかと思う。
写真はマスダールシティのマスタープラン模型。写真左側のソーラー発電施設によってエリア内の電気を賄う計画だ。
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今回、たまたまマスダールシティに行く用事があったので、印象を書きたいと思う。
再生可能エネルギーの街、マスダールシティ
マスダールシティは、太陽光発電を中心とした「再生可能エネルギーのみで街を運営する」というコンセプトに基づき開発中のアブダビ政府のプロジェクトで、アブダビ空港のすぐ隣に位置している。マスダールはアブダビ政府傘下の会社だ。
当初の予定では2010年にすでに全体が完成しているはずが、2016年現在完成しているのはマスダール社自身で開発したフェイズ1のみ。確か記憶が正しけれは全部でフェイズ6まであったと思う。
計画では、6平方キロメートルのエリアに20 Billion USドル程度の予算を見込んでいたのだが、リーマンショックや思ったよりも投資が集まらないことからか、結局完成予定は当初の2010年から2015年→2030年と先送りされている。
ドバイを始めUAEでは、面白そうな計画が持ち上がるとそれを実行に移す速度がとても早い。日本とは真逆だ。
まあ、これは税金を使っているわけではないから国民から不満が出ない、独裁政治だから王様がやりたければすぐに実行に移される、など理由はあるだろう。
企画立案から実行に移すのは非常に早いが、結果的にはうまくいっていないプロジェクトも当然ある。このマスダールシティも結構苦戦している様子だ。
マスダール・シティのフェイズ1内は、PRTと呼ばれる交通システムの駅を中心に、10棟程度のオフィス/居住複合ビルディングから成り立っている。施設内にはシーメンス社を始めとする企業やMasdar Instituteという教育機関が入居しており、再生可能エネルギー関連の研究/開発が行われているらしい。
だが活気はいまいち。
人がいない。
いない・・・
いた!
でも清掃スタッフの人員の方が多い?
静かな環境で仕事や研究をしたい人にはもってこいの環境です。
施設内の電気はすべて、敷地内のはなれにある太陽光パネルと、ビルディング屋上に設置された太陽光パネルによる発電で賄われており、夜はその太陽光エネルギーを蓄電する、という方法で賄われているそうだ。
またエリア内の建築も、太陽光を避け、日陰を多く作るために建物同士の距離が近い。これはUAEでは珍しい建築スタイルだ。
コミュニティ内に風を送り込むためのウィンド・タワー。
未来の乗り物PRT
PRT = Personal rapid transitの略なんだそうだが、早い話が無人/自動運転の電気自動車だ。
今話題の自動運転車と違ってGPSで車のロケーションを制御するわけではなく、通路には磁石が埋め込まれていてその上を走行するらしい。今のところ駐車場とフェイズ1の間、決まった通路を行き来するだけだ。
残念ながら、今のところ開発が進んでいないマスダールシティでは、このPRTが今のところ最も目玉のアトラクションか。
充電中のPRT。
車内に入り、モニターのボタンを押して出発。
自動運転だが思ったよりも速度が速く、通路も広い。いずれ何台か平行して走ることを想定した広さなのだろうか。
写真ではレールのようになってるが、これはPRTがいつも同じ場所を走ることによるタイヤの跡です。
このPRTによって・・・
マスダールシティ内は車禁止。
のはずだったが・・・
もっとも人が多い中東シーメンスHQビルディングにはしっかり駐車場が併設されていました。
シーメンスに出てってもらいたくないからか、利便性優先で「エコ」のコンセプトには若干のブレが見られるようです。
というわけで、まだまだ道半ば、かなり課題は多そうなマスダールシティ・プロジェクトだが、非常に面白く、かつ時代にマッチしたコンセプトであるので、ゆっくりながらも今後の展開を楽しみにしたいと思います。
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