農水省は、今月末のガルフード(Gulfood:ドバイの食の展示会)に合わせてまたこの「おいしい」プロジェクトのイベントをドバイで行おうとしているらしい。
ドバイ在住の方々はすでにご存知と思うが、この「おいしい」は数年前からSpinny's(スピニーズ)というスーパーなどでやっている。
「おいしい」リンゴ"1個"がAED50ディルハム・・・・
高けぇ・・・・
ちなみにドバイのスーパーに売ってるリンゴは"1キロ"あたり7ディルハム。産地はフランス、アメリカ、ペルー、中国など様々。しかも普通にとてもおいしい。最近ではAED2.95/KGの激安中国産などもあって、これもフツーにおいしい。(私は長野県出身だから一応リンゴの美味しさは知ってるつもりだ)
というわけで「おいしい」のリンゴは値段的にとてつもなく高く、想像の域を超えている上、ジョークの域にすら達しつつあり、地元の人からは「え?このリンゴは宇宙から落ちてきたの???」という声すら聞こえてきそうだ。
はっきり言ってしまおう(自分のブログだから)。「おいしい」の 物品、絶対売れない。
たまに「やれ最高級メロンが最高級リンゴがドバイで売れて・・・」 という記事をインターネットで見るが、そんなの全部ウソ。売れるわけがない。
以前カルフール(スーパー)で売られていた日本のリンゴが、最初50Dhs/キロ→30Dhs→15Dhs→11Dhsと下降していったのを見かけた。販売元はアメリカの食品会社"Dole"の中東支店だった。
その後たまたまあるパーティーでドールの幹部に会ったのでこの件について話をすると、実は30Dhs/キロ以上で売らないと利益が出ないので完全な赤字だったそうだ。
「おいしい」も間違いなく赤字だろう。
不思議なのは、成功しないのになんで毎年同じコンセプトで予算を組んでやりつづけるのだろうか?売れるわけないのに。もちろん食の進んだ国(フランスとか?)ならやる価値あるだろうがドバイではだめだ。
農水省から予算が出てイベント企画会社がそれをいつもと同じく実行。別に売れないけど、また来年予算がでて実行。
これではまるで無駄遣い公共事業だ。
まあ100歩譲ってそれはよしとしても・・・・
この「おいしい」をやることによって逆にネガティブ・イメージになりはしないかと心配だ。
仕事で日本人以外に会うとだいたい「日本の景気どう?」みたいな話になる。それから「日本の景色はきれいだ」とか「日本は良い国だ」等々。そして日本の最新技術、テクノロジーはすごいね・・・と。
その後必ず出るのが「日本の製品は品質はいいけど高いよね・・・」 という話。
「日本製品の品質がいいのはわかってるけど高いから中国製、韓国製を買うよ」というのが残念ながら彼らに共通した意見だ。本当は低価格で高性能/高品質な物も日本には沢山あるはずなのに。
ある意味「日本製品は高すぎてダメ」というレッテルを貼られて苦戦している市場に、とてつもなく高価で普通の人には理解できない物品を持ち込んで宣伝している、と言える。
これでは「日本人はいったい何を考えているんだ?」となってしまうんじゃなかろうかと非常に心配です。