そのタイトルは "the salaryman in Japan's culture" (日本文化の中のサラリーマン)
日本へ進出しようとする外国人に、日本でビジネスをする上で避けて通れない人々「サラリーマン」について解説したとても面白い論説だ。文中、「サラリーマン」を理解する事は日本でビジネスを成功させるために非常に重要だと言っている。
簡単に説明すると日本の一流企業に勤めるエリート社員「タナカさん」を通して、就職、会社での常識、出世、人的ネットワーク形成の仕方など、日本のビジネス慣習をうまく解説している。出世街道まっしぐらのタナカさんと、ややおちこぼれた感のある同期入社のスズキさん、過去に大きなミスをしたことで完全に出世の道が閉ざされてしまった同じく同期入社のヤマグチさんなどが登場して面白い。
英語が読める人にはぜひ自身で読んでみてほしいが、 以下おそらく「日本エリートサラリーマン」の特徴的な部分で、欧米スタイルのビジネスマンと違う部分を箇条書き。
- 現在35歳のタナカさんのビジネス人生は「一流大学→一流企業」を志望する親の都合で2、3歳の時からすでに始まっている。
- タナカさんのお父さんの給料は良いが、子供2人以上を一流大学には入れられないのでタナカさんは一人っ子。
- 一流大学に入る為、8歳から塾に通い1日12時間勉強。
- 東大卒業後、超一流企業に入社。
- 卒業式の次の日からピカピカのスーツで超満員電車に揺られ出社。
- 入社当初どの部門に配属されるのかはタナカさんだけでなく会社側も知らない。
- 入社直後のトレーニング期間に知り合った同期入社との縁は定年するまで続く。
- 入社後3年ほど各部署をローテーションで配属され、人的ネットワークを作る。
- 若い時は一生懸命働き、夜遅くまでオフィスに残り、余計なリスクを冒さないことによって上司らの信頼を勝ち取る。
- タナカさんは奥さんとは社内結婚。子供の面倒を見てもらうため2世帯住宅。
- サラリーマンは30歳を過ぎるころには大体自分の将来の出世具合いは決定されている。
- タナカさんは社内のヒエラルキー(上下関係)を非常によく理解しているので絶対上司には逆らわない。(たとえ心の中では反対でも)
- タナカさんはいずれ自分が出世した時に実行しようとする改革アイディアがあるが絶対口には出さない。それをいつか実行するため同期入社とのネットワークには常に気を使っている。
- 会社に忠誠。
- 会社と家庭で何か問題が合った場合、99%まず会社を優先。
- 首尾一貫している。
- 会社、上司、同僚を批判しない。
- 信頼できる。
- 細かいことにうるさい。
- すべてのオプションを考える。
- 保守的。
- 決定は会議で下される(稟議)
- もしそれが必要で会社のために良いことなら、あなたの為に山さえ動かす。
- 規則に従う
まあ日本の経済状況や世代間の考え方もかなり変わってきたので、今の若いサラリーマンは必ずしも「タナカさんばり」ではないかもしれませんが。
というわけで日本人駐在上司&日系会社の「時に不可思議な行動/出来事」に不平不満を言っていた私の友人は、これを読んでかなり会社と上司のことが理解できたそうです。あっぱれ。