ドバイ・パークス&リゾートに見るドバイ・メガプロジェクト開発の行方


このページは、前回の、
Dubai Parks and Resorts(ドバイ・パークス&リゾート)で遊ぶ
からの続きです。

前回、ドバイ・パークス&リゾートに家族で出かけ、くじで当選した9000人が訪れたからか、珍しく人出が多かったことについて書いたが、

通常は利益が上がらないのか運営会社の株価は低迷中


Dubai Parks and Resorts(ドバイ・パークス&リゾート)の運営会社は政府系のDXB Entertainments PJSC。

長らくドバイでは、企業がIPOで株式公開する際、価格を一株AED1に設定するのがデフォルトで、地域経済は(アブダビの)オイルマネーで潤っていたので、何の株でもとにかく「IPO時に買っておけばいずれは上がる」というのが通常だった。

当然みんな買いたいので、買える枠というのはそれほどなく、抽選みたいな感じで割り振られる。

このドバイ・パークス&リゾート(DXB Entertainments PJSC)のIPO時、私も当然応募した。そして6295株をゲット。

だが・・・

テーマパーク工事中に公開時に比べ2倍程度になった株価は、パーク・オープンと共に下落しはじめ、しばらく株価すらも見ていなかったが、今確認したら0.44ディルハム。日本円にしたらたったの13円。

長らく含み損を抱えたまま。

オープンして1年半以上が経った現在、配当(ディビデンド)は出たことなど無く、経営は苦しいと見える。 確かにここはいつ来てもスカスカなのだ。

そのスカスカぶりが、行楽地でもレストランでも、利用者にとってはドバイの最高に良い点の1つなのではあるが・・・・

とにかく何でも造り過ぎちゃうのがドバイ流


近年の大発展とそれに伴う不動産開発ラッシュが著しいドバイでは、テーマパークの開発もラッシュ中。

現在のドバイ人口は300万人弱、アブダビは120万人程度と予想されており、UAE全体でも1000万人に満たない。
その程度の人口のこのエリアには、この巨大テーマパーク・リゾートのドバイ・パークス&リゾート以外にも、

  • フェラーリ・ワールド 
  • IMGワールド・オブ・アドベンチャーズ 
  • ワーナーブラザース・ワールド(アブダビに建設中)

と、どう考えても巨大テーマパークが沢山ありすぎ。

ちょっと毛並みは違うが、ドバイランドにあるグローバル・ヴィレッジ(Global Village)もけっこう巨大なテーマパークだ。

ところでドバイにあるテーマパークの内、最も人気が高いのは10月から4月までしかオープンしないこのグローバル・ヴィレッジだろう。ここは入場料がAED15(400円強)と圧倒的に安く、派手なライドやお金のかかるキャラクター・コンテンツはほとんど無く、地域の雑貨売りが中心だが週末にはものすごい人出がある。

いつも賑わうグローバル・ヴィレッジ
いつも賑わうグローバル・ヴィレッジ

ほぼ中国企業の製造業者/貿易業者のみが入居するドラゴン・マートがいつも盛況なことを見ても、ドバイ市場(マーケット)のボリュームゾーンは「安かろう悪かろう(必ずしも最近はそうは言えないが)」レベルの価格/商材あたりに需要が多いと言える。

アメリカやヨーロッパ、日本などと違い、まだまだ先進国とは言えないし、いわゆる発展途上国からの出稼ぎ移民が多いドバイでは、1回の来訪でAED200(5000円以上)かかるドバイ・パークス&リゾートは、居住者をターゲットにするにはニーズと供給がちぐはぐなのかもしれない。

巨大開発の話に戻るが、この手の「造り過ぎ」的話は遊園地だけではない。

ドバイ国際空港は巨大なハブ空港だが、既に飽和状態であるためにアブダビ寄りの砂漠地帯(DWC、またはドバイサウスと呼ばれている)に将来的に巨大空港を建設すると発表済み。

でもそのDWCから70キロしか離れていない場所に、現在アブダビは巨大ハブ空港を建設中。
さらにさほど離れていない同じGCCのドーハにも巨大ハブ空港が開港している。

まあ、各国(各首長国)の覇権争いはさておき、ドバイがやり過ぎとも言える開発に邁進するのは、やはり「ドバイを世界一の都市にする」という王様の野望に他ならない。

ドバイの人口は2027年に500万人へ増加


で、すべて解決?

王様が実権を掌握する王制の国では、王様のビジョンに揺るぎがなければ、政権交代して前の政権が行った政策を転換して拡大路線から逆行し、中途半端に計画が頓挫する、または中止される、ということはない。

よってシェイク・モハメドのビジョンに従い、今後のドバイは人口500万人都市(現状のペースで人口が増えると2027年に到達するというUAE Universityのリサーチ結果がある)、もしかするとその後は1000万人以上の都市へと飛躍的に人口が増えて行くことが予想でき、それを見越した先行投資と捉えるべきなのだろう。

人口がそのくらい劇的に増えるとなると、経済規模の拡大は簡単。なので私はドバイへの投資は、不動産であれ何であれ基本的にブリッシュ(Bullish)だ。

だが最近のドバイ/UAEでは、オイル価格の低迷からインベスター・センチメントが下がり、地域の経済は必ずしも良くない。今年からはUAE初の本格的な税金であるVATも導入されたし、ドバイが大都市へと成長していく過程の1つのハードルを向かえているとも言えるだろう。


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