私は洋服にはけっこうこだわる。スーツはやっぱり体にピシッと合ってないとキマらない。ずっとスーツを新調したいと思っていたがドバイではどの店に入っても合うサイズが無い。やたらデカいのだ。
一番小さいサイズを着てみてもなんかこう肩に余裕があったり、袖が長過ぎたり・・・
そこでバール・ドバイ地区にあるテーラー街でオーダー・スーツなど試してみようかなどと思っていたら、ネットで日本のスーツ事情が目に入った。最近日本ではスーツを「ネット」で、しかも「アウトレット価格」で買う。当然試着はできないが細かいサイズは記述してある。しかも質がいいらしい。
縫製は中国だが生地はイタリア、イギリス製の物を使用しているらしい。
[PR]
そこで考えてみた。
「ドバイでイタリア生地をインド人テーラーがフルオーダーメイドで制作してUS500ドル。」
OR
「イタリア生地を中国工場で 縫製して日本人の体系に合わせたスーツが日本からの送料を入れても2万円以下。」
というわけで今回はおためしも兼ねて後者に決定。スーツのスタイルはイタリアン・クラシコで。早速ネットで購入。これは昨日の話。
そして今日・・・・
Ibn Battuta Mall(イブン・バトゥータ・モール)で知人と面会して駐車場に向かうと、車に乗った2人組から「オー・エクスキューズミー、空港ドチラですか?」とめっちゃイタリアなまりの英語で聞かれた。
なので「オー、左行ってー、右行ってー、信号左行って〜、まっすぐ35キロデース。」と教えてあげたら、「ところでアナタドコ出身デスかー?」と。
「日本からだよ」 と答えると自分はファッション・デザイナーでロッポンギとギンザに彼のオフィスがあるという。たしかによくよく見ると仕立ての良いスーツを着てシャツとネクタイの色合いもセンスよさげな感じだ。
そして日本とイタリアは飯もうまいしセンスもいいし両者似てると言う。まぁポルノ女優が国会議員なのは別にして、車やファッションなどイタリア人のセンスは抜群だから、そう言われると悪い気はしない。
そこで他愛も無い会話をして日本ではイタリア製のブランド服は値段が高いからイタリア生地・デザインを日本のメーカーが中国工場で作って安く売ったりしてるんだよ(昨日のネタ)、という話をしたら今日のお礼(つーか左・右・左と教えただけなんだが。)にステキなプレゼントがあると言う。
じつは彼はアルマーニの人間で、アブダビでファッション展示会があったんだけど彼らにはスリムすぎてもういらないスーツがあるからあげると。しかもアナタにぴったりだからちょっと見ていかないか、と。
で、後部座席には5着ほどのスーツが無造作に置いてある。
あやしい・・・(Smells like fishy・・・)
そう思うとすべてが怪しく思えてくるから不思議だ。彼らは仕立ての良い服を着て金もってそうだがなぜか車はトヨタのカムリだ。(しかもあまりに庶民的な白色)
ただ道を教えただけなのにアルマーニのスーツを「くれる」というのも怪しい。
とりあえず怪しいうんぬんを抜きにして、いくらスリムと言ってもここドバイで私に合うスーツなどあるはずが無い・・・・しかも私はアルマーニのスーツはあまり好きではない・・・
そんなことを瞬時に考えながら口では、
「オファーはありがたいけどワイフが待ってるからすぐ行かなきゃ」
と速攻で言っていた。
別にワイフ待ってないんだけども。
NY→ドバイと怪しい人間多かったからこういう場合の対処方法が無意識のうちに体にしみついているんだな。
そしたら「オーケー、じゃいいよ」とさっさと行ってしまった。べつに後部座席のスーツ一着そのまま渡してくれてもよかったんですが・・・
さっそく帰って"Italian Dubai suit scam"でググってみるといっぱい出てきた。
やはり2人組で最初は「空港どっち」と聞かれ、お礼にアルマーニのスーツをプレゼントすると言われるらしい。やっぱ詐欺だったか。
私が体験しなかったその後の展開はと言うと、実はイタリアの娘に携帯電話を買ってあげたいが手持ちのお金がなくなってしまい→お金をくれ。ということらしい。まぁ高級スーツ貰って羽振りが良くなったところで金をせびるという作戦か。
ところがよくよく読んでみると、けっこう貰ったスーツに満足している顧客(被害者?)が多い。
「スーツ2着にAED300(約7500円)を払ったがサイズもぴったりで仕立てもいい。」
「AED500を取られたがスーツの質がよくて損した気がしない。」
等々。
まぁ値段からして本物のアルマーニではないと思うが、これほど被害者満足度の高い詐欺師が世の中にいるのだろうか?
う〜ん、せめてスーツだけでも見せてもらうべきだったかなぁ。
騙されなかったことがちょっと残念だったりして。
・フォローして頂けますと嬉しいです。(フォローバック100%): @hiroshiyamaoka