ところで先週私はジェトロが主催するドバイ食品ミッションに参加させてもらった。基本的に参加者の皆様は日本の生鮮・加工食品の生産者の方々を中心に、ここ中東で日本の食材を流通させたいと考えている企業、または地方自治体の方々だ。
私はドバイ在住だが、日本の食材をドバイで売りたいという案件がいくつかあり、日本から来た皆様といっしょにドバイの「食」とその流通に関する場所を見て回った。ここドバイの食品流通分野で活躍する人々と知り合いになるだけでなく、日本のサプライヤーの皆様の話が聞けたこともあって非常に有意義な4日間を過ごしました。
さて、今回のミッションに参加していろいろ感じたことがありました。
まず、いろんな分野でドバイ・中東への日本企業の進出はおくれていますけど、日本の食品に関しては今回の食品ミッション、海外貿易会議、それに続くGulfood(ガルフード)展示会など農林水産省がバックアップするなどして、日本企業にとってはより参入しやすい環境が提供されています。食品のみならずぜひ他の分野でも国が積極的に海外進出を支援してほしいですね。
どころで、国がバックアップしてはいますが、まだまだ日本食品がここドバイで流通するには超えなければならないハードルがいくつもある、というのが参加している方々の多くの意見でした。
大きな問題の一つは流通コストの問題でしょう。エアーで運ばなければならない生鮮食品などはどうしても値段が高くなってしまう。在ドバイの方々にはおなじみだと思うが、スピニーズ(スーパー)で「おいしい」と銘打って販売している日本の果物等は近隣諸国のものに比べて5倍〜10倍の値段がしてしまう。さすがにどれだけ日本の果物がおいしくても、それから地元ローカルは金持ちが多いとはいってもこの値段では苦戦しているようだ。
海外貿易会議にて思ったことだが、「ドバイには金持ちが多いから美味しくて質の良いものだったら値段が高くても売れるはずだ」と考える日本の生産者サイドと、値段が高すぎてはビジネスとして成り立たないとする現地ディストリビューターとの温度差を感じた。それから(これは私の個人的な感想だが)ローカルアラブ人は食に対する関心があまり無く、健康志向も高くない上に、糖尿病が流行っていることからもわかるように偏食ぎみだ。しかもUAEでUAE人は人口の20%しかいない。
ドバイではZUMAやNOBUなど高級日本食レストランが次々とオープンしているが、客層はどちらかというと地元のアラブ人でなくヨーロッパ人を中心とする観光客やドバイで働く裕福なExpatのようだ。
今回いろいろな人に会ったが、食品事業に従事する人々はヨーロッパ人、インド人等が多く、UAE人もしくはGCC出身の人というのはほとんどいなかった。なので食品に関しては、すでに和食に対して関心の高いヨーロッパ人等、在ドバイの裕福なExpatをターゲットにすべきであろう。
「ドバイへ進出=ローカル・アラブ人がマーケティングのターゲット」とは必ずしもならないところが、人種のるつぼ、ドバイのおもしろいところだ。