「ドバイ崩壊」の根拠

報道ステーションの「ドバイ崩壊」放送以来何かと日本で話題だったらしいドバイ崩壊ネタだが、何かと誤解を招くような話が多いようだ。ドバイ崩壊説については日本だけでなく在ドバイのExpatが多いイギリスなどその他の国でもあるようだが、やはりデータが乏しく話の根拠がうすっぺらいのは日本だけではないようだ。
まぁ、この辺は都合の悪いことをなかなか公表しないお国柄もあって憶測が憶測を呼んでしまうということだろう。

ところで何かとドバイ崩壊の根拠に上がる「物件の値段が40〜50%下落した」について書きたいと思う。
この「ドバイ不動産40%の下落」についてはどの時点とくらべて40%下落なのかを提示しないとまったく意味が無い。おそらく物件価格が最高値だった時に比べているんだろうとは思うが、ArabianBusinessのコラムニストの体験談を紹介したい。

彼はパームジュメイラの"Shoreline Apartment"で2ベッドルームの物件を探していたのだが、2008年9月(価格ピーク時)の売り手のAsking PriceはAED3.6ミリオン(日本円で約8640万)だった。
ショアライン・アパートメントは12階立ての中層アパートでプライベート・ビーチもついてる一見ディズニー風な外観のリゾート気分満点の物件だ。

Shoreline Apartment @ Palm Jumeirah


その後世界不況がドバイ不動産市場を直撃し、2009年1月の時点で、とあるキャッシュが必要な売り手はAED1.8ミリオンでどうかと言ってきたらしい。現在の紙面上の市場価格はファシリティーの違いもあって2.1ミリオン〜3ミリオンでかなりばらつきがあるが、どうしても売りたいオーナーが1.8ミリオンを提示しているというのは信憑性のある話だ。

だから"3.6ミリオン"が"1.8ミリオン"。そう、ピッタシ50%ダウン‥‥

「投げ売りだー!ドバイ不動産大崩壊だー!」

と聞こえてきそうですが‥‥

じつはそう簡単に崩壊には結びつけられないのです。考慮しなければいけないのは実際販売された時の価格なのです。ちなみにこのショアライン・アパートメントの2BRの元々の販売価格は1.1ミリオンだったそうです。ということは1.8で売ってもAED700,000の利益。ということは日本円で約1680万円の利益。4年前に買った物件が1680万円アップで売ったらウハウハでしょう、普通は。

というわけでドバイの完成している物件に関しては、今のところオーナー(売り手)側は「買った価格よりも高い値段を提示して踏ん張っている状態」といえるでしょう。

ところで「原価割れして投げ売りしている物件」がたくさんある、と言う話。そう、それは2008年に売り出されたオフプラン物件でしょう。不動産バブル絶頂だった2008年に入ってからは、図面だけ、絵だけの2BRアパートメントが3ミリオンとかで売りに出されていたわけです。そこで買ってしまった投機家もたくさんいたわけです。
このオフプラン物件売買はドバイだけの特殊な販売方法なので、すでに完成している物件の価格変動とは別にして考えるべきでしょう。

というわけで、単純に「50%ダウン」=「大崩壊」ではないことを説明したかったわけですが、この先どうかと言うことになると‥‥
私自身は不動産価格はもっと下がり、すでに完成している物件が販売価格以下になることもあり得ると思います。すでにアメリカ、イギリスでは不動産価格は2003年レベルまで下がっているらしいですからね。ドバイもそうなってもおかしくないでしょう。1997年にアジアの不動産バブルが崩壊した時にはシンガポール、香港等の物件価格は80〜90%下落したらしいですが、ドバイも似たような道を辿るのではないかと思います。とくに出来の悪い物件がちょくちょく見受けられるドバイ物件ですから。こういう物件の価格は落ちるでしょうね。

逆にそこまで安くなったら出来の良いドバイ物件はヴァケーション・ハウス(別荘)としてお勧めですよ!

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