世界不況のあおりで在UAEのフィリピン人約3000人が職を失った

17日のGulf Newsより。

Global crisis robs Filipinos of 3,000 jobs in UAE

特に不動産業界、設計等、やはり建設関連業界はかなり打撃を受けてるようだ。フィリピン人といえば基本的にレセプションや秘書等、会社の末端で働く人が多いから、こういった人々から解雇が進んでいるのだろう。まぁフィリピン人に限らず、イギリス人中心のオンラインフォーラムでも解雇の話題が上がっているから、ここ数年発展を謳歌してきたUAEでもついに世界不況の波にのまれてきた感じだ。


こんな折にUAE政府は、ビザ申請の際に家族をサポートするための条件である給与の額をAED4000/月からAED10000に引き上げるという。(住居が供給される場合はAED8000)
4000から10000とは随分なストレッチだが、さっそくインド人、アジア人を中心とした中低所得者層からは不満が出ているようだ。AED10000は日本円で約25万円〜30万円だから一見条件を上げ過ぎのような気もする。しかしながらUAE政府の言い分もわからないでもない。

ドバイでは一番狭くて安い賃貸物件でもAED60000/年間程度するから単純に住居費がAED5000/月だ。そこに光熱費がプラス。それから車は必需品だからレンタカーで月2000Dhs‥‥
税無しのUAEとはいえ、家族を養うには実際問題としてAED10000では足りないというのが実情だ。やはり住居費(家賃)の高さが問題だろう。不動産売買価格は下降し始めたがレントは今現在まだまだ下がっていない。やはりドバイが健全な街として再出発するために、この辺でがつんと不況に直面して膿を出し、それからエンドユーザー・フレンドリーな都市として再出発してくれると期待したい。

ところでこのAED10000という基準。日本人駐在員でこれより安い給料ということはあり得ないと思うが、現地採用にとっては微妙な額だ。場合によっては現地採用は家族をビザ・サポートできない、ということになってしまう。とは言っても相対的にその他の都市(ニューヨークやロンドン等)に比べてドバイ現地採用の給与は高めのはずだから(しかもタックス無し)、企業としてもドバイだけ高く設定とはいかないだろう。

ヴィザにしてもUAEは豊かな国としては珍しく外国人に寛容な国だ。基本的に雇用されればヴィザはおりる。アメリカなどでグリーン・カードに到達するまで莫大な弁護士費用とテンポラリー・ヴィザで社会の底辺で何年も頑張らなければいけないのとは大違いだ。
しかしながら不況のあおりでUAEも何かと軌道修正が必要になってきたということだろう。なにしろここは王制だから決まったら実行は早い。王様の賢明な政治力に期待したい。

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