2008年にドバイ(UAE)にて日系企業/投資家をビジネス支援するコンサルタント会社"Y's Consultancy"をたちあげた筆者。日本生まれ日本育ちだが海外居住はかなり長い。なので漢字が苦手。楽器オタク。

This blog is written in Japanese. But I sometimes write in English when I feel like it.

2017/02/28

世界通貨/基軸通貨の存在感をすっかり失っている日本円

少なくともドバイでは。

ドバイは「世界の主要金融センターの1つ」と言い切るのはちと時期尚早ではあるが、中東一の金融ハブであることは間違いなく、世界的にもその地位を高めつつある。

アメリカや日本、またその他の多くの国と違い、出入国時に持ち込める現金の限度は(事実上)無く、個人法人を問わず、銀行では様々な通貨の口座を開設でき、金融の自由度は高いからだ。

だがここ2年ほどで明らかに変わったことがある。それは日本円に対する対応だ。

日本円口座が開設できない


かつては個人口座、法人口座に関わらず、UAEの銀行では日本円口座の開設は当たり前に可能だった。

そりゃ、円はハードカレンシーの1つなのだから。

ところが1、2年前から法人口座の円口座開設は「銀行マネージメントの認可ベースだ」と言われるようになり、事実上不可能となってしまった。(個人口座は居住者であればまだ一応可能な銀行もある)

一方Brexit(ブレグジット)を境に一気に安くなったりして混乱している英ポンドの口座開設は今でも全く問題がない。

まあそれなりに英国人と英国がらみのビジネスも多いポンドの扱いと違い、ドバイでは現状今ひとつ存在感の薄い日本円ではしょうがないかな、という程度に考えていたのだが。

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ところが最近は、ある程度まとまった日本円をキャッシュで日本から持って来て、ドバイの銀行口座に預金しようとしたケースですら断られる、という事態も出て来た。大きな銀行でもだ。

以前はその預金先の口座が円であれ、AEDであれ、USDであれ、大小どの銀行でも全く問題なく可能であったのだが。

本来基軸通貨であったはずの日本円を大手銀行ですら欲しがらない・・・

よってドバイで日本円を持っていても、銀行が受け付けてくれないので、レートの悪い両替商でUAEディルハムやUSドルに交換して預金するしかない、という状況になっている。

そしてさらに・・・

自分の円口座にある日本円すらも引き出せない


最近、とある日系法人がUAE最大の銀行で、自社の円口座から日本円(300万円ほど)の現金引き出しを銀行に依頼したところ、その程度の額であっても引き出せない(=銀行が円を用意できない)という事態まで起こった。

とにかくUAE銀行の「円嫌い」は本格的なようだ。

銀行担当者の言い訳は、リスクがなんだとか、3ミリオンは大きすぎるとか、なぜかウニャウニャでイマイチ歯切れが悪い。

結局のところ、ドバイでは利用者が無く、かつ長期の超低金利で持っていても全く旨味がなく、かつ日本政府のあからさまな円安政策も合間って、日本円など持たない、ということになったのだろう。

ところでこの銀行担当者は「日本円の3ミリオンは用意できないけど、ドル、ユーロ、ポンドの3ミリオンならいくらでも用意できるよ」と言って来た。

つーかJPYで「3ミリオン」って、たったの300万円=およそ25,000ドル程度なんですけど。しかもドル、ユーロ、ポンドの3ミリオンはそれぞれ3億円以上・・・

ペディキャッシュ程度とは言わないが、300万円すらも用意できないとは・・・

日本ではアベノミクス以降の円安によって大企業の売り上げ(円建て)は軒並み史上最高を叩き出し、雇用も順調で円安の良い面ばかりがクローズアップされがちだが、円安が進むということは日本全体の資産価値はドルベースでは落ちている、ということだ。

実は「日本=金持ち」という時代はすでに終わっているが、意外にその「日本金持ち」感覚が染み付いていて、今でも日本人の給与が高いと思っている日本人は意外に多い。

ドバイに駐在に来た日本人が、現地の(ホワイトカラーの)給与が高くてびっくりする、というのは結構よくある話。

何しろ20年前の方が給与が高かったデフレの日本に対して、他国(特に同じ先進国の欧米やヨーロッパ、またはシンガポールや香港、ドバイなど新興著しいエリア)では総じて給与がアップしているからだ。

「給与も上がるが物価も上がる」ドバイのような場所に対し、「給与は上がらないが物価も上がらない(というか相対的に下がる)」日本、どっちが庶民にとって幸せかは判断の難しいところではあるが、超低金利政策の長期化と円安政策によって世界での円の存在感が圧倒的に低下していることだけは間違いなさそうだ。

日本ではマスコミを中心に、中国の人民元にやっかみを入れる論調が多いが、もはや現場ではコミュニスト・チャイナの元の方が円よりも存在価値が高く、世界通貨として通用しているのではないだろうか。

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