2008年にドバイ(UAE)にて日系企業/投資家をビジネス支援するコンサルタント会社"Y's Consultancy"をたちあげた筆者。日本生まれ日本育ちだが海外居住はかなり長い。なので漢字が苦手。楽器オタク。

This blog is written in Japanese. But I sometimes write in English when I feel like it.

2016/07/20

民衆の不満はどこまで行くか? トランプ氏が共和党大統領候補に指名される。

アメリカでは共和党次期大統領候補にドナルド・トランプ氏が正式に指名された。これは面白くなってきた。

昨年トランプ氏が共和党の大統領選指名候補に立候補している、と聞いたときにはジョークか何かと思ったが、まさか大統領候補にまでなるとは2015年の出馬時には考えてもみなかった。

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こうなった今、11月に行われる大統領選挙までに、アメリカを中心とした先進国でイスラム過激派によるテロが続き、アメリカ国民の感情が移民排除の方向に動いた場合、何かの拍子にトランプ氏が大統領に選出されてしまってもおかしくない。

アメリカ(特にNYタイムスなどリベラル派の新聞)や日本のメディアはトランプ叩きに必死だが、私個人的には別にトランプ氏が大統領でも良いのではないかと思っている。(だが自分が今でもアメリカに住んでいたら大反対だが)

ちなみに私の頭の中はこうだ。

自分の頭の中の右派:基本的に現状を維持=自分のビジネスには多分良い=ヒラリー氏支持
自分の頭の中の左派:貧富の拡大による世界規模での民衆の不満の増大への理解=トランプ氏支持(厳密には支持はしていないんだが)

それにトランプ氏ほどのやり手のビジネスマンだったら、一旦大統領になったら暴言しまくりの一方で意外にまともな政策を行うのではないかと思ったりする。

現に数々の暴言の裏であまり言及されていないが、富裕層に課税して貧困層への社会福祉を拡充することも政策の1つとして言及している。
これは今までウォール街から多額の献金を得て、富裕層への減税と金融自由化を進め、自身と取り巻きの富を蓄積することに全力を傾けてきた感のある過去の共和党首脳陣とはかなり違う。(当然ウォール街はトランプ大統領に大反対で、躍起になってトランプ潰しに資金を提供しているようだ。トランプ氏のその政策自体は共和党より民主党に近い。)

それからトランプ氏が全く政治の素人で、世界の出来事や経済に関して無知なことを批判する知識層が多いが、それらを知り尽くしている知識層に支配されてきた結果、そのような知識層が利益を独占し、アメリカを始めとする先進国では貧富の差が拡大して民衆の不満が増大しているわけで、けっきょく「政治/経済を知り尽くしている人々が利己的な政策を行う」より、「全くのど素人が民衆のための政治をやってくれた方がマシ」という国民感情が出てくるのもごもっともなのだ。UKのEU離脱と一緒で危険だが。

というわけで私には、スロベニア出身モデルのトランプ氏の奥さん、メラニアさんが「ファースト・レイディ」になることは結構ヤバいんじゃないかと思うが、トランプ氏が大統領になっても致し方ない、と思っている。

英国のEU離脱との共通点


トランプ氏はなにかと反移民的/排他的な言動がフォーカスされているので、右翼的と見られがちだが、自身が富裕層にもかかわらずヘッジファンドやウォール街を代弁していないところが左派的でもある。

トランプ氏を熱狂的に支持しているのは、英国でEU離脱を支持した層と同じく、地方に住む低所得・低学歴の、どちらかと言えば「下流」に入る労働者層が中心だ。(英国のEU離脱のケースではここに若年層 vs. シニア層という構図も加わっていた。)

日本では所得の格差は欧米に比べ激しくは無いが、

  • 富がどんどん増える富裕層 vs. 非正規雇用が増える庶民 
  • 富む都市部 vs. 貧しくなる一方の地方
  • 若年層 vs. シニア層 
  • 移民に職を奪われる下層労働者(日本もなんとなく移民を増やしていったらいずれこうなる。)

といった問題は日本でも一緒だ。

格差問題の元はと言えば、レーガン元大統領時代の「レーガノミクス」に始まる世界的な自由主義、自由貿易経済政策の拡大からだと思う。

「富裕層(大企業)への減税による貯蓄の増大、そして購買力の増加と、規制緩和によって経済成長を促し、結果として皆が潤う」というのは自由貿易主義の基本方針で、日本の歴代自民党政権の方針も基本的にはこの路線だと思う。

問題は「結果として皆が潤う」はずだった部分で、実際にはどうだろう。

実際には自由主義経済によって圧倒的に潤ったのは富裕層(もともと"富を持っている人達"、大企業を含む)であって、想像以上に富裕層が富を吸収してしまい、一般大衆には十分潤いが行き届いていない、という構図なのではないだろうか。

ウォール街では規制緩和によって様々な金融商品に投資が集まり、投資家、投資銀行は莫大な利益を上げることができた。アメリカの大企業では年間100億円といった給料が社長に払われるようになった。

そして経済が良い時期には、皆とは言わないが、ある程度の庶民がその恩恵にあやかることもあった。

ところがリーマンショックが起き、ウォール街の失態を民衆の税金で尻拭いした、その後・・・

多くの民衆は職を失う一方、富を持つ層は不景気で安くなった資産を買いあさり、リーマンショック後5年以上経った今では、世界経済停滞の元凶だったウォール街はさらに富を獲得し、一般市民(特に若者)はリーマンショック前よりも厳しい状況に置かれつつある・・・

というのが現状で、英国でもアメリカでも(世界中の先進国どこでも)既存の政治に対する民衆の不満が溜まりつつある。

結果、トランプ氏が支持されたり、英国政府の意向に反してEU離脱に票を入れる人々が多数を占めた、と言えるだろう。

帰ってきたヒトラー


最近"Look who is back"(2015年、邦題:帰ってきたヒトラー)というドイツ映画を見た。

なぜか現代のベルリンにタイムスリップしてしまったヒトラーが、その特異な言動で騒ぎを起こすところがコミカルに描かれる。

ところが最後には、このヒトラーの排他的で過激だが説得力のある言葉が民衆の「蓄積された不満」に訴えかけ、いつの間にか現代の民衆の心を掴んでいってしまう、という結構冗談では済まされない笑えないエンディングだった。映画は「コメディ」というカテゴリーだったはずだが。

現代において成功したトランプ氏はポピュリストではあってもヒトラーではないと思うが、世界的にそういう人や言動が民衆に支持される方向にあることは間違いない。

私の頭の右派は、基本的に自由貿易、自由主義体制に賛成で富を得ることに反対しないが、同じく私の頭の左派は、富の配分は絶対必要だと思っている。

だけど富の再配分はどの国でも難しい。なぜなら権力の座にいる支配層は結局富裕層とそれに近い人たちだからだ。

自分の利権はなかなか手放さない。特に年をとってオヤジになってくると守りに入ってこの傾向が強くなってくるのは自分でもよくわかる。若い時は理想に燃えていたのに。(まあ自分には「利権」と言えるものは全く無いが。残念ながら。)

というわけで、結局先進国で世の中の不満を解消していくには、富裕層による寛大な富の再配分が必要、ということではないだろうか。

でなければいずれ民衆による暴動、なんてことが・・・

実際にアメリカでは、いずれ民衆による富裕層に対する暴動などが起こり得るのではないか、と警鐘を鳴らす人が富裕層の中から出てきている、と何かのドキュメンタリーで見た。

将来的に「現代のフランス革命」が起こらないとは言い切れない。

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