2008年にドバイ(UAE)にて日系企業/投資家をビジネス支援するコンサルタント会社"Y's Consultancy"をたちあげた筆者。日本生まれ日本育ちだが海外居住はかなり長い。なので漢字が苦手。楽器オタク。

This blog is written in Japanese. But I sometimes write in English when I feel like it.

2016/03/14

ドバイ・中東進出を考える人のためのイスラム教入門①

最近ドバイモールの紀伊国屋書店でコーラン(英訳付き)を買った。

このボリュームで100Dhs。(およそ3000円)

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冊子にはパキスタン製とある。パキスタン製品を買うのは生まれて初めてではなかろうか。

英語訳はかなりいい加減なのか詩的なのか理解するのはなかなか難しい。スペルミスも多々ある。それを差し引いてもこのボリュームはお値打ちだ。

ところで私はこれを読んでイスラム教に改宗しよう、などとは全く思っていない。無宗教であることに信念がありますので。

ちなみにドバイを含めこの地域の慣習として、「あなたの宗教は何ですか?」と聞かれたら、絶対に「無宗教です」と言ってはいけません。「神をも恐れぬ不届き者」と思われてしまいます。日本人で特に信仰が無いのであれば「仏教」と答えておけば良いでしょう。多かれ少なかれ日本人の生活は仏教に影響されていますので。

それではなんでまたコーランを読もうと思ったのかと言えば・・・

ドバイに来て早9年。
実に人口の90%が外国人移民のドバイでは、現地の慣習にとらわれすぎず、自分の文化を保持したままで普通に生活ができる。

それはそれで良いのだが。

英語で生活できてしまうのでアラビア語は必要ないし、現地の慣習についてより深い知識を得ようとはなかなかならない。

よってコーランを学ぶことによってアラビア語に親しみつつ、イスラム教の慣習を学んでみようと思ったわけだ。

ちなみに日本では一般的に「コーラン」と呼ぶが、実際の発音は「クルアーン」が近い。
英語では”Quran”だが、”Qu-Ran”と読むのではなくて”Qur- An”と読むと思えばわかりやすい。

というわけで、ドバイへ来た人から聞かれることの多い、主なムスリムの慣習について幾つか書いておこうと思う。

ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教、神は一緒


テロなど物騒な事件を起こすイスラム過激派グループに対して軍を派遣する欧米のキリスト教国、という図式を見ると、普通の日本人にはキリスト教とイスラム教は全く相いれない宗教で、全く違うものだ、という印象を持つと思う。

ところが実はどちらの宗教も崇拝する神は一緒。

それは布袋さんと恵比寿さんは共に神です、というようなレベルではなく、「ゴッド」と「アッラー」は呼び名が違うだけで全く同じ神ということ。

だからアメリカ人がよく言う「オーマイ・ガー(ゴーッド)」は「オーマイ・アッラー」と言っても全く同じ。

イスラム教とキリスト教の関係を例えて言えば、ともに麻原彰晃を崇拝するオウム真理教とアレフの違いようなもの・・・

ほら、そんなに違わないでしょ?(例えが非常に悪いですが)

イスラム教ではイエスやアブラハムやモーゼを過去の預言者として認めていて、コーランにも彼ら(過去の預言者)に関する記述が出てきます。イスラム教ではムハンマドを「最後の預言者」としているだけで、決してイスラム教がキリスト教を否定しているわけではない。

そしてその事実はすべてのイスラム教徒が理解していることです。

なのでコーランの中には、「神を信じないものには厳しい罰が下される」というくだりが出てきますが、キリスト教信者やユダヤ教信者はたとえ彼らがイスラム教を信じてなくてもこれには該当しません。

ですが日本を始め東洋の、一神教ではない神の概念が若干違う人々、は「罰が下される」に該当してしまいます。厳密には。

豚肉は食べない


とんこつラーメンおいしいのに。

コーランの中(2: Surat Al Baqarah - 173)にこんなくだりがある。

He has only forbidden to you dead animals, blood, the flesh of swine, and that which has been dedicated to other than Allah.
(出典:Al-Quran-Al-Karim by Zaheen Fatima Baig)

「神は死んだ動物、血、豚肉、およびアッラー以外(邪教)に供えられたものを禁止する」

勝手な想像だが、豚肉にはウィルスや感染症の危険性があるので、禁止ということになったのだと思う。というか、そういう危険があるので「神(アッラー)が禁止した」ということだろう。

天邪鬼な私は「神(アッラー)がそこまで言うか?」と思ってしまうが・・・

随分生活の細かいとこまで、指示するのがイスラム教のアッラーだ。
他にはラマダン中のセックスは日が落ちて早めの時間ならやってもいい、という内容もあったと思う。そこまで神が決めるか?

豚肉の話に戻ると、コーランが書かれたのは7世紀。ずいぶん昔でその当時は豚肉を食べたことによる感染症も多かったのだろう。神の教えによって豚肉を食すことを禁止するのは、無知な人々が無用な疫病にかかったりするのを防ぐ効果があったのだろう。

だが今は衛生状況も7世紀とは雲泥の差。害が無いのであれば豚肉解禁でも良いのでは?
と個人的には思ってしまうが・・・

コーランを時代に合わせて書き換える、など到底出来る訳が無い(神聖なコーランに手を加えるなどできない)ので、イスラム教で永遠に豚肉が解禁されることは無さそうだ。

ムスリムにとっては豚肉に問題があるかどうかはどうでもよく、神が「ダメだ」と言ったらダメだからだ。

豚にとってはこれほどありがたい話はないだろう。

お酒もダメ。そしてギャンブルも


私がイスラム教に改宗など100%あり得ないのはこのためです。

コーラン(2: Surat Al Baqarah - 219)によると、

They ask you about wine and gambling. Say, “In them is great sin and (yet, some) benefits for people. But their sin is greater then their benefit”. And they ask you what they should spend. Say, “the excess (beyond needs).” Thus Allah makes clear to you the verses (of revelation) that you might give thought.
(出典:Al-Quran-Al-Karim by Zaheen Fatima Baig)

ここではワイン(お酒)とギャンブルに関して、「共に大罪だが、いくらかの人には利益がある。だが罪の方が利益よりも大きい。」(と神が言っている)としていて、「ある一定の人には利益がある」と言っているあたりが意外に理解があり、かつ何とも世俗的だ。豚肉と違い完全に「禁止」とは言っていない。

そこがムスリムでもお酒を飲む人が若干存在する理由だろうか。

ちなみにドバイへ持ち込む食品にアルコール成分が入っていると禁止かどうか、というのはよく聞かれるトピックだ。もちろんアルコールはダメなのだが、実は商材にアルコール成分が入っていなくてもダメなケースもある。

例えばスナック菓子のパッケージに「ビールのおつまみに!」なんて書いてあるのはダメだ。

ところで、同じイスラム教国でも政教分離が進んでいるトルコでは、レストランでビールやワインなど出すだけでなく、ビールの生産も行うなど飲酒文化がある。トルコのビール、エフェス(Efes)はヨーロッパ・ビルスナーの伝統を受け継ぐような味で結構ウマい。

>>トルコ旅行記「飛んでイスタンブール」

銀行の利子もダメ???


コーランの中には「利子、または高利貸し」について禁止する記述がある。

例えば 2: Surat Al-Baqarah 275には、

Those who consume interest cannot stand [on the Day of Resurrection] except as one stands who is being beaten by Satan into insanity. That is because they say, "Trade is [just] like interest." But Allah has permitted trade and has forbidden interest. So whoever has received an admonition from his Lord and desists may have what is past, and his affair rests with Allah . But whoever returns to [dealing in interest or usury] - those are the companions of the Fire; they will abide eternally therein.
(出典:quran.com)

抜粋すると、「高利を貪る者は、最後の審判の日に立ちあがることはできない。」「『商売は利子(高利貸し)のようなものだ』という人がいるが、神は商売は許し、利子(高利貸し)は禁止した。」など。

これに続く節で幾つか利子(高利)の禁止に関する事が書かれていて、これによってイスラム圏では基本的に利子というのは禁止ということになっている。
ということはフツーに考えて銀行業は罪ということになってしまうのだが。

実は意外にこの辺はフレキシブルだ。

普通の民間銀行では、中東拠点の銀行であっても普通に”Interest”(利子)という言葉を使うし、イスラム銀行では"Investment Return"(投資利益)という言い方で結局利子がつく。

ここでイスラム金融という言葉が出てくるわけだが、非常に簡単に説明すると、

普通の金融機関でお金の貸し借りがあると、「債務者は債権者(銀行)からお金を借り、債務者はそのお金で家を買う。そして債権者にお金を返す」という形をとる。

イスラム金融の場合は、「債務者は債権者(銀行)に家を買うことについて相談し、債務者と債権者との間の契約(Shareの保有関係)に基づき、債権者が家に投資して購入し債務者に対してリースする」という形。
なので家を銀行融資で買った場合、正式な不動産登記書類には家のオーナー=債権者、債務者は債権者からリースする、という内容が明記されます。

文章が長くなってきたのでパート②へ続きます。パート②では、女性、ゲイ、重婚など下世話なネタを・・・



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