2008年にドバイ(UAE)にて日系企業/投資家をビジネス支援するコンサルタント会社"Y's Consultancy"をたちあげた筆者。日本生まれ日本育ちだが海外居住はかなり長い。なので漢字が苦手。楽器オタク。

This blog is written in Japanese. But I sometimes write in English when I feel like it.

2013/07/15

The Cove(ザ・コーヴ)って反日?

今更ながら「反日映画」と噂になった2009年製作のアカデミー・ドキュメンタリー賞作品、"The Cove(ザ・コーヴ)"を見た。

ご存知の通り、和歌山県太地町のイルカ漁に反対するドキュメンタリーだ。

まず最初に。

私は自身の価値観を正義として振りかざし、それを他国へ押し付けようとする欧米人、団体、政府などが大嫌いだ。
「クジラ食うな」と言われたら、じゃ「ウサギ食うなよ」と言いたくなってしまうタイプだ。まあ私、クジラやイルカなどまったく食べないが。

今までこの映画を見た事はなかったが、この映画に対する日本サイドの反応はすでにネット経由でインプットされていた。

きっと「イルカ大好きアメリカ人」が彼らの価値観を太地町の漁師達に無理矢理押し付ける形で製作された映画なのだろう、と最初からかなりのバイアスが入って見始めた。
しかも私にはこの映画に協力しているというシー・シェパードという団体の印象がどうも良くない。エコという名を冠したテロ売名行為で金を集めている団体、という印象しかないからだ。(実際にはあまり良く知らないんですが。)

予想した通り映画はそんな雰囲気で始まった。主演のリック・オリバー氏が自身のイルカとの体験を通してイルカへの思い入れを語り、潜入先の太地町ではマスクと帽子を被り「もし見つかったら殺されるかもしれない」と言う。

おいおい。普通の日本の町民がいきなりアメリカ人を殺す訳ないだろ。
小さな日本の漁村にやっきて「殺される」は随分大げさだ。

映画の方は、ドキュメンタリーとは言ってもかなり脚本入っていそうでエンターテイメント的。
だがしかし、それは私にはノープロブレムだ。なぜなら日本のテレビ局が製作する「ドバイ」を題材にしたテレビ番組なんてどれもヒドいもんだ。必ず大小何らかのやらせが入っている。そして何かと言えば「セレブ」を連発。特に民放はヒドい。なんとか面白くするためにそうしているんだろう。辟易としてしまうがもはやそういうのには慣れた。

そんな感じで映画は進むが、これが結構ドキュメンタリーにしては展開がしっかりしていて面白い。そしてクライマックスは和歌山県と太地町漁業組合が「我々の伝統でありカルチャーだ」と言うイルカ追い込み漁の現場を盗撮する事だ。
まるでミッション・インポッシブルの様な展開で"イーヴル・エンパイア(邪悪の帝国)"=太地町に対する作戦が実行される。

そこまで大げさにやるか?ってな感じで見ていたのだが・・・

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その盗撮された伝統のイルカ追い込み漁。

ヒドい・・・・

これはショッキングだ。

「イルカの追い込み漁」は生まれて初めて見たが、イルカ屠殺のやり方が残酷過ぎるし、情けもヘッタクレも無ければ、非人道的で、倫理観にも欠けていると言わざるを得ない。
盗撮されたイルカ追い込み漁とは、浅瀬に獲物であるイルカを何頭か囲い込み、数日間食料をやらずに弱らせた上で、銛・槍らしきもので逃げ惑うイルカを動けなくなるまでメッタ刺し。そしてCove(入り江)は血の海。

映画を見始めた時の私のバイアスはすっかり吹き飛んでしまった。

だってこの漁のやり方は非情すぎるでしょう。「伝統/カルチャーだ」なんてよく言えたものだと思う。ニューギニアの少数部族だって今は首狩りなんてしない。かつては伝統だったかもしれないが。
しかもそれを日本のカルチャーだと言ってほしくないね、日本人として。

私にはこのイルカ追い込み漁が現代人の倫理観念に耐えうるものだとは到底思えない。

映画を最後まで見終わってみると、製作手法がどうのこうのはどうでもよく、とにかくこのイルカ追い込み漁だけは終わらせるべき、と思ってしまった。

ところがもう一度ネットでその映画の評判を見てみると、日本では意外に映画に対する懐疑派、否定派が多くて驚いた。

だがそれらの批判は若干的を外している感がある。

1. 「反日だ」という意見。

私にはどこが反日なのかさっぱり分からない。どう見ても反対の対象は「イルカ追い込み漁」とそれを続けさせている日本政府や漁業関係者等だ。

2. 町民を侮辱している、という意見。

町民を滑稽に、あざ笑うかの様に撮影しているとの指摘だが、日本人に限らず慣れない他国の言葉でしゃべろうとしたら「滑稽」になってしまうのはどこの国の人でもいっしょだ。なので特に滑稽に扱かった訳でなく、滑稽になってしまうシチュエーションだった、ということだろう。特に日本人が映画の中で情けなく描写されたからといって目くじら立てる必要もなかろうと思う。多かれ少なかれ外人に英語で対応する時の日本人なんてそんなもんだ。私を含めて。

あえて言えば、敵の言葉である英語で、つたないながらも懸命に話す町民へのリスペクトが足りない、というのは言えるだろう。まあ海外に出れば英語圏の人々なんて大抵そんなもんだが。

3. 演出している、という意見。

演出感は否めないが、前述した通りエンターテイメント的に製作すれば、そんなもんだろう。

そんな訳でどの否定派意見も「イルカ追い込み漁がとてつもなく残酷である」という決定的な事実に目を向けておらず、そこから目を背ける様な反論意見しか出していない、というのが実態のようだ。
捕鯨が正しいかどうかを対等に議論するには、その衝撃の屠殺方法と真っ向から向き合わなければ、欧米の反捕鯨運動に対して大人の議論は成り立たないだろう。

チキンや牛やブタの屠殺といっしょだろ、という人がいるが、いや全然違う。イルカ追い込み漁はそれらに比べ圧倒的に苦痛を伴っている様に見え、非道だ。

ところで映画には地元漁民らと水産省職員が、結果として「悪役」で登場している。かってに編集され、望まずして映画に出てしまった彼らが怒るのは無理もない事だと思う。
せっかく映画の中では悪役として中々いい味を出しているのだから、彼らにもギャラくらいは出すべきだと思ったりなんかして・・・

この映画を見終わって、今やイルカ、クジラなど殆ど食べない日本人にとって、「イルカ追い込み漁」をはじめとする捕鯨が本当に必要なのかどうか、は考えてみるべき事項だと思いました。



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