ドバイとアメリカとタックス、そしてちょっと日本

日本ではサザエさんの銅像に固定資産税が課されたんだそうな・・・
日本の財政のヤバさと税務署のやる気がひしひしと感じられます。

ところで先日、うちの会社が取引している銀行での出来事。

仕事上付き合いのあるその銀行のアソシエーション・マネージャーと、たまたまそこにいた支店長を交えて雑談をしていたところ、こんな話があった。

その銀行では最近、アメリカ人の新規大口顧客を非常に嫌がっているんだそうだ。アメリカ人というだけで銀行口座の開設を断られる事も多々あるらしい。

というのもIRS(アメリカの租税当局)が非常にウルサいんだそうな・・・
とにかく銀行のみならず、担当者にまで異常なプレッシャーをかけて来るらしい。理由はもちろんIRSが、ドバイに資産を隠し持って申告していないアメリカ人がいるのではないか、と疑っていることだ。

そんな訳で、アメリカ人のプライオリティ・ステイタスの顧客は、担当したくない各支店のアソシエーション・マネージャーの間でたらい回しになっているんだそうだ。

かくいう私も去年IRSには大変な目に合った。

細かい部分は省くが、私がアメリカにちょっと残していた財産はすべてIRSに没収された。結構いい車が1台買える程度の金額だ。

私は2007年までアメリカに住んでいたが、その後ドバイへ移住した。当時アメリカに持っていた証券口座と銀行口座はそのままにしてあり、若干の資産を置いていた。

IRSは、長期であれ短期であれ居住者が一旦"ソーシャルセキュリティ・ナンバー"や"タックスペイヤーナンバー(TIN)"などを取得してしまうと、アメリカ人であろうがなかろうが税を取り立てる為にとことん追いかけて来る。
ご存知の通りアメリカでグリーンカードなどヴィザを取得するのは、ロッタリー(くじ引き)で当たる以外は非常に面倒かつコストがかかり敷居が高い。それに対しアメリカの「タックス・ペイヤー(納税者)」となる敷居は驚く程低い。

IRS曰く、私には何度も催告書を送ったんだそうだ。 一度も受けとったことはないが。
どうもよくよく聞いてみると私がアメリカで最後に住んでいた住居の、前の前の住所にレターを送っていたらしい。

おいおい。21世紀なんだから電話とかEメールとかあるだろ。

しかも私アメリカ人でもなければアメリカにも住んでいないし。

アメリカを離れる際、IRSの事なんか何も考えていなかったが、どうもその際に、私が「アメリカ人でなく、今後アメリカに住む予定も無く、よって今後アメリカに税金を納めない旨」の手続きをしなければいけなかったらしい。

それをしなかった事と、アメリカの証券会社で株の売買を行っていた事、この2つのタイミングが運悪く重なって資産没収となったわけだ。でも勝手に没収するか?普通。

なんというテロリスト・オーガニゼーション・・・

まあ結局、散々IRSに電話しまくり、アメリカを離れてからの5年分のタックス・リターンを1ヶ月以内にファイルする、という荒技で資産は全部帰って来た。

言いたかった事はそれほどまでに「IRSは怖い」ということです。

アメリカのタックス・リターンというのは日本で言うところの確定申告だが、アメリカでは自営業者のみならずすべての納税者がこれを行う結構めんどうな作業だ。

そこで税金ゼロの国UAEへやって来ると、とにかく出入金の管理が簡潔。かつ簡単。
そりゃそうだ、とにかく税金というシステムが無いのだから。

ところで「法人税、固定資産税、所得税など全く無し」がドバイへ投資家を呼び込むための謳い文句ではあるのだが、実は「タックス」という名前を用いていないだけで、政府が徴収するフィーというのは存在する。要するにタックスだ。

例えば法人税。

UAEでは法人税は無しだが、「ライセンス料金」という形で毎年一定額を各法人/ビジネスから徴収する。
どれだけ純利益が多かろうと少なかろうと、この徴収額は一定だ。

こういう租税形態はRegressive Taxation(リグレッシヴ・タクゼイション)と言って、一般的には富裕層に有利な政策である。

例えばライセンス料金が年間50万円としよう。

小規模零細企業で、年間の純利益が300万円だったとすると、ライセンス料金が50万円だから、租税パーセンテージは16.6%。(それでも日本の40%以上に比べたら低いが)

一方、純利益1兆円(100,000,000,000円)のトヨタ自動車の様な会社がドバイに存在したら、ライセンス料金は同じく50万円だから、租税パーセンテージは、

なんと0.0005%・・・

ん? ゼロが多くて合ってるのかよくわからん。

いずれにしろこれがUAEが行う、富裕層優遇政策のの1つであると言える。




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