現地採用社員の憂鬱

最近こんな話題が出た。

「日本企業の現地採用の給料は安い‥‥」

統計は無いし、人は常に欲張りだから本当に給料が安いのかどうかは別にして‥‥
日本企業にあって他の外国企業ではあまり見かけない状況っていうのはある。それは‥‥

従業員の「二重構造」だ。これは私が以前住んでたニューヨークでもそうだった。

 

大概現地日本企業のトップや上の方のレベルは本国日本から送られてくる、いわゆる「駐在」と呼ばれる社員で、給料以外にも住居手当や海外派遣手当、場合によっては送られる国のポピュラー度を基に査定した特別手当など、「えっ??」と思うような待遇で働いている。(これを否定しているわけではありません。大概こういった駐在の方々は同じ企業で10年20年と体を張って、時には過酷な残業をしてでも企業を支えてきた方々ですから。)
そして3年、4年といったスパンで次の駐在に入れ替わる。当然彼らは企業内でもエリートな人達で、大卒後入社しその企業だけで働いてきた人達だ。

一方、現地採用の方は(ドバイでは)人種もそれまでの経歴も様々で大体はその日本企業だけでなく、他の国の企業でも働いてきた人達だ。給料は経験、技術等によって様々だろう。
ところがこの二重構造のもとでは、この現地採用の人達はどんなに頑張ってもまず現地日本企業のトップになることはあり得ない。さらに、現地で大活躍した現地採用社員がその実績を買われて日本本社で採用され‥‥

なんてあり得るはずも無い。

この状況は他国の企業ではあまりない。基本的に「駐在」と「現地採用」という区別が無い。

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こういった構造は時代遅れ、競争力の低下ということにならないだろうか?

日本企業の現地採用で働く非日本人社員が、会社での昇進に限界があることからモチベーションが上がらない、と言ってるのを何度か耳にしたことがある。

話はちょっとそれるが、ドバイは人種も企業も多国籍なので「国の競争力」をよく目の当たりにする。
ドバイでは中東・MENA地区最大の見本市が毎年数多く開かれ、各国予算を出してその国のエリアを設けて、それぞれ国の製品をアピールしている。日本と並ぶ技術大国ドイツのブースはどの展示会でも常に最大で力が入っていてすごい。同じアジアのライバル、中国、韓国もどのジャンルの見本市にも常に出展している。
ところが、私が今まで見た展示会で日本が国としてブースを出していたのは食の見本市「ガルフード」のみ。こんなんで大丈夫だろうか?
しかも、国がサポートしなければは資金力のない中小企業はなかなか進出できない。


「日本の製品はすばらしい。」

だけどその事実にあぐらをかいて、国際競争に乗り遅れていないだろうか?ドバイへ持って来る日本製品は品質がいいのはわかるが、人件費や輸送コストなど他国の製品に比べて異常に高価でマーケッタビリティに欠ける、というケースが多い。いっぽうで中国、韓国製品の技術は日々すごい勢いで進化している。

しかも中国、韓国人は新興地域進出にアグレッシブだ。

過去10年に日本の首相が何人変わったか、多すぎて忘れてしまったが、そのたんび選挙でお金を使うより、他の使い道をもっと考えてほしいもんです。
今回の世界不況でわかったように日本は製品を外国に売らないと成り立たない国なわけだから、輸送コストを国の援助で下げるとか、海外の見本市出展をサポートするとかしてほしいですね。

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