2008年にドバイ(UAE)にて日系企業/投資家をビジネス支援するコンサルタント会社"Y's Consultancy"をたちあげた筆者。日本生まれ日本育ちだが海外居住はかなり長い。なので漢字が苦手。楽器オタク。

This blog is written in Japanese. But I sometimes write in English when I feel like it.

2009/02/17

田原総一朗氏のドバイについてのコラム

テレビの報道番組等でもおなじみの田原総一朗氏が最近ドバイに来たらしく、その際の印象を書いたコラムが載っていたので紹介したい。

「不況の中、中東ドバイで感じたこと」

コラムではドバイに対して好意的に書いている。

それがこの数カ月、「砂漠の蜃気楼が消え去りそうだ」とか「砂上の楼閣が崩壊寸前」だなどと言われている。建設工事が皆ストップし、失業者が溢れ、贅を凝らした油による超近代都市が惨憺たる状態だ、と新聞や雑誌では報道されている。

一回この目で確かめたい、ということでドバイに行ってきた。

まず、「行ってよかった」と思った。情報とはいかに当てにならないものか、よくわかった。日本の報道とは違い、ドバイは非常に活気にあふれた街で、マンハッタンのように超高層ビルが無数に立ち並んでいた。


年末の報道ステーションの的外れな「ドバイ崩壊」報道以来、ドバイに関しては完全に間違った情報が流れていたので、「ちゃんとドバイを訪れリサーチした識者の意見」が載せられるのはとても良いことだ。
田原氏は「ドバイに一番多い民族はイギリス人で、」と書いているがこれは違う。多いのはインド人でドバイの全人口の半分以上はインド人だ。(マリーナあたりのバーで飲み過ぎたのだろうか?そこは圧倒的にイギリス人が多い。)ただ田原氏が言うように実際ドバイ経済を動かしているアドバイザー的役職にはイギリス人が圧倒的に多い。

ところで田原氏はドバイの良いところを取り上げたが、私は昨日ドバイのスローダウンを象徴するイベントに行ってきた。不動産関連展示会"International Property Show 2009"。そう、年中温暖なドバイにおいて今最も冷え込みが厳しいセクターだ。IPS2009のウェブサイトによると2008年はAED 20 Billionの売り上げがあったと書いてあるが、今年は‥‥

けっこうスカスカ。活気なし‥‥

昨年に比べると出展者も減っているようだ。ここに出展されるのはまだ着工していない計画段階のオフ・プラン物件で、昨年までは1億円、2億円といった物件が飛ぶように売れたのだ。
この手の不動産イベントで最大なのは秋ごろ行われる"City Scape「シティ・スケープ」"だが、訪れる投資家は下の写真のような計画模型と、絵に描いた図面、間取り図をみて物件を買う。


もはや「絵に描いた餅」がばんばん売れたバブルな時代は終わった、ということでしょう。(まあ完成すれば本物の餅になるんですけどね。)
ところで上の写真は"Falcon City「ファルコン・シティ」"というドバイランド内の大きなプロジェクトのうちの一つ。とりあえず計画中止にはなってないということがわかったのはよかった。でもドバイランドの2015年完成予定はかなり遅れるでしょうね。

2009/02/09

ブッシュ元大統領に靴を投げた記者に最高15年!!の求刑

Iraqi shoe thrower faces 15 year jail term - reports

ブッシュ元大統領の最後のイラク訪問時に起きたこの事件。2月19日に裁判が行われ、靴を投げたイラク人記者に対して最高15年の求刑がされているとのリポートだ。


ブッシュ氏のよけっぷりがお見事な現場ビデオ

アラブでは「靴を投げつける行為は相当な侮辱」とされ、イラクの法律では「外国要人に対する暴力行為は重罪」であると解説している。だから最高15年なのだとか‥‥

ところで私を含め靴を投げたイラク人記者に対して同情する人も多いのではなかろうか?ブッシュ氏に靴を投げたい人は世界中にたくさんいると思う。ブッシュ元大統領の間違った外交政策のせいで命を落とした人々がたくさんいる。これはイラクの人々だけでなく、戦地で亡くなったアメリカ人も含めてだ。しかもアメリカ人にはブッシュ氏を選んでしまった責任があるが、われわれノンアメリカンにはその責任はない。(アメリカ大統領は影響力が大きすぎるから、世界中で投票して選んでみてはどうか?)

最近のイスラエルのガザ侵攻でもそうだったが、戦争となるといつも被害を被るのは末端の人々だ。戦地で人が死ぬという事実に対して、行動を決定した政治家の責任というのはあまりにも軽すぎる。

と書き出したらムカついてきたので話題を変えて‥‥

もう一つアラビアンビジネスからのニュース。ドバイでのビザ発行数はキャンセル数を上回っている、というドバイ政府からのオフィシャルな話。

Dubai issues more work visas than it cancels - official

最近メディアでよく取り上げられていた「世界不況のあおりでドバイを出て自国へ帰る人が増えている」というニュースに敏感になったドバイ政府が反論したいのだろう。1月にはキャンセルする数1000件に対して発行数1000件と言ってるから、まあ帰る人、来る人プラマイ0ということでそんなもんだろうとは思う。

なにかと臭いモノには蓋をしがちなドバイ政府だけど、とくに最近は「不況のドバイを脱出する人が急増して街がゴーストタウンになっている」などど完全に間違った話もあって「もはやドバイ・バッシング」の域に達しつつあったから、これからは情報を開示して理解を深める方向になってくれれば良いと思う。

ところで私が住むのはドバイ南西のいわゆるニュー・ドバイ地区だが、移民者が減ってきたのと市場に出る物件が増えたことで賃貸住宅の需要と供給が逆転し、家賃が下がってきたことがうれしい。不況になることは悪いことばかりでもないのだ。オフィスやモールなどの賃料が下がることによって、これからは中小企業のドバイ進出もやりやすくなっていくと思う。

さて。いろいろ言われるドバイ経済ですが、おそらくドバイは大阪府やカリフォルニア州と同じように資金繰りが難しくなっているということではないかと思う。(もちろんドバイ政府は言わないが)
完成した不動産プロジェクトの支払いが元締めの政府系ディバロッパーから回ってないという話を聞くからだ。まあ、開発の規模がデカすぎたのが原因だろう。

大阪府やカリフォルニア州と違うのは国自体には金があるということですかね。日本やアメリカは借金泥沼に入りそうですが、アラブ首長国連邦はけっこう立ち直りが早いのではないかと思います。

2009/02/08

「ドバイ崩壊」の根拠

報道ステーションの「ドバイ崩壊」放送以来何かと日本で話題だったらしいドバイ崩壊ネタだが、何かと誤解を招くような話が多いようだ。ドバイ崩壊説については日本だけでなく在ドバイのExpatが多いイギリスなどその他の国でもあるようだが、やはりデータが乏しく話の根拠がうすっぺらいのは日本だけではないようだ。
まぁ、この辺は都合の悪いことをなかなか公表しないお国柄もあって憶測が憶測を呼んでしまうということだろう。

ところで何かとドバイ崩壊の根拠に上がる「物件の値段が40〜50%下落した」について書きたいと思う。
この「ドバイ不動産40%の下落」についてはどの時点とくらべて40%下落なのかを提示しないとまったく意味が無い。おそらく物件価格が最高値だった時に比べているんだろうとは思うが、ArabianBusinessのコラムニストの体験談を紹介したい。

彼はパームジュメイラの"Shoreline Apartment"で2ベッドルームの物件を探していたのだが、2008年9月(価格ピーク時)の売り手のAsking PriceはAED3.6ミリオン(日本円で約8640万)だった。
ショアライン・アパートメントは12階立ての中層アパートでプライベート・ビーチもついてる一見ディズニー風な外観のリゾート気分満点の物件だ。

Shoreline Apartment @ Palm Jumeirah


その後世界不況がドバイ不動産市場を直撃し、2009年1月の時点で、とあるキャッシュが必要な売り手はAED1.8ミリオンでどうかと言ってきたらしい。現在の紙面上の市場価格はファシリティーの違いもあって2.1ミリオン〜3ミリオンでかなりばらつきがあるが、どうしても売りたいオーナーが1.8ミリオンを提示しているというのは信憑性のある話だ。

だから"3.6ミリオン"が"1.8ミリオン"。そう、ピッタシ50%ダウン‥‥

「投げ売りだー!ドバイ不動産大崩壊だー!」

と聞こえてきそうですが‥‥

じつはそう簡単に崩壊には結びつけられないのです。考慮しなければいけないのは実際販売された時の価格なのです。ちなみにこのショアライン・アパートメントの2BRの元々の販売価格は1.1ミリオンだったそうです。ということは1.8で売ってもAED700,000の利益。ということは日本円で約1680万円の利益。4年前に買った物件が1680万円アップで売ったらウハウハでしょう、普通は。

というわけでドバイの完成している物件に関しては、今のところオーナー(売り手)側は「買った価格よりも高い値段を提示して踏ん張っている状態」といえるでしょう。

ところで「原価割れして投げ売りしている物件」がたくさんある、と言う話。そう、それは2008年に売り出されたオフプラン物件でしょう。不動産バブル絶頂だった2008年に入ってからは、図面だけ、絵だけの2BRアパートメントが3ミリオンとかで売りに出されていたわけです。そこで買ってしまった投機家もたくさんいたわけです。
このオフプラン物件売買はドバイだけの特殊な販売方法なので、すでに完成している物件の価格変動とは別にして考えるべきでしょう。

というわけで、単純に「50%ダウン」=「大崩壊」ではないことを説明したかったわけですが、この先どうかと言うことになると‥‥
私自身は不動産価格はもっと下がり、すでに完成している物件が販売価格以下になることもあり得ると思います。すでにアメリカ、イギリスでは不動産価格は2003年レベルまで下がっているらしいですからね。ドバイもそうなってもおかしくないでしょう。1997年にアジアの不動産バブルが崩壊した時にはシンガポール、香港等の物件価格は80〜90%下落したらしいですが、ドバイも似たような道を辿るのではないかと思います。とくに出来の悪い物件がちょくちょく見受けられるドバイ物件ですから。こういう物件の価格は落ちるでしょうね。

逆にそこまで安くなったら出来の良いドバイ物件はヴァケーション・ハウス(別荘)としてお勧めですよ!

2009/02/03

ドバイお得意のフリップフロップでまたまた混乱

今回の話はVillaと呼ばれる一戸建てタイプの賃貸住宅に関して。
2006年からDubai Municipality(ドバイの市庁舎)では"one villa, one family(1つのヴィラに1家族)"なるキャンペーンを行ってきたが、2008年の夏ごろからとくにこれに力を入れ始めた。もともとヴィラタイプの住宅は3〜6ベッドルームの大型の住居が多く、これを単身者がシェアして家賃をできるだけおさえるようとするExpatが多かったのだが、Dubai Municipalityはこれらの人々を上記のキャンペーンを口実に追い出しにかかったため、多くのExpatがアパート(フラット)タイプの住居に移動し、より高い家賃を払わなければならなくなった。
夏以降にはヴィラ・タイプのみならずフラット・タイプのシェアも禁止されて(法的効力があったのかどうかは定かでないが)、私の知ってる中低所得のインド人Expatもアパートを出なければいけないという話をしていた。なにかと金満な話題が日本で放映されるドバイだが、ドバイには金持ちしかいないと思ったら大間違いだ。実際ドバイの経済を支える多くの人々は他の都市と同じく中低所得者層だから、これらの人々は給料の半分〜2/3を家賃に当てなければならないという状況になってしまった。

ところが今回のフリップフロップ。Municipalityは「その件に関しては"Miss understanding"があった。広さが十分あれば1つのヴィラに1家族以上が住んでも構わない」と言い始めた。要は1ヴィラに30人とか住まなければシェアするのは構わん、ということらしい。早い話がついこのあいだまではダメだったことを今日からは良いとしたわけだ。

とにかく‥‥

ドバイではこの手の話がとにかく多い。なんというか「クレディビリティ(Credibility)」という概念がまったく感じられないのだ。たとえば最近の出来事で思い出してみると‥‥ 

・「ドバイ不動産を買ったらUAEヴィザがもらえる」はずがもらえなくなった。(でもナヒールなど一部のディベロッパーの物件ではもらえたりすることもある)

・日本人を含むヴィザ無し入国の期間はもともと60日だったが、昨夏ころ移民局が30日に変更した。その2ヶ月後にはオフィシャルな発表なしにまた60日に戻っていた。(でも入国スタンプは「30日」のままで移民局に問い合わせると「30日」のスタンプは「60日」という意味です。というわけのわからん説明をされる。)

なんというかいい加減というか、もうちょっと熟慮してから発表するなり実行するなりできないんだろうか、ここの人たちは。これがまた政府レベルだけでなく民間レベルでもそうだからまいってしまう。私のように日本人のクライアント相手に商売をするとなるとこれを説明するのが非常に困る。きっちりしている日本の感覚ではありえないことがここではよくあるからだ。

今回のヴィラの件も、不景気とあいまってヴィラの入居者が減ってしまいあわてて方向転換したように思える。一時、年間家賃AED220,000だったスプリングスのヴィラは150Kまで値下がりしているらしい。とりあえずドバイの賃貸価格は異常な高さだったので安くなったのは良いことではある。

ところで「クレディビリティ」と言うことでいえば、不景気な今だけにドバイのこのいい加減さ(方向転換の早さ?)がいい方向に作用すると期待したい。私はアメリカのCNBC(ビジネス・ニュース専門チャンネル)をよく見るが、これから世界不況に直面するにあたって最近よく耳にするのは「日本の”失われた10年”を繰り返してはならない」ということだ。とにかく日本は政策実行が遅い。そしてその政策がコケたら政治家は責任問題やら何やらに必死で、肝心な政策実行にはさらに時間がかかってしまう。

というわけで、政策がコケたらすぐ撤回。王様を代えるわけにもいかないから責任問題で時間がかかることもなし。というドバイの早期景気回復に期待したいですね!

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